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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第13章 【恥と猛省】


 シリウスの言葉に対し、ドラコが小さい声で問いかけた。
 つい先日まで純血主義者であり『死喰い人』として行動していたドラコにとって、それは奇妙な感覚だった。
 当然だが、中には見知った『死喰い人』も何人かいるはずだ。そいつらとシリウスが戦うのかと思うと、どこかやり場のない気持ち悪さがドラコの体を蹂躙した。
 だがそんなドラコに対し、シリウスは軽く笑ってみせた。

「もちろん死ぬ可能性もあるが、私の性分にはピッタリだから不満はない。寧ろじっとしていろと言われた方がストレスで気がおかしくなる。そんなことより、2人はこれからどうするんだ?」

 ドラコがケガしたから実施訓練はやめたが、これからどうするかまでは決めていなかった。
 クリスがちらちらドラコの顔を伺いながら「えーっと」と言葉を探していると、シリウスがこう助言してくれた。

「どうせならダウジング使って、ハリー達の居そうな場所をピックアップするのも良いかもしれない。それで明日から、実際にその場所に訪れてみるのはどうだろう」
「うん、良いな!そうしよう!!」

 クリスは早速用意してもらった地図と、占いに使うペンデュラムをテーブルの上にセッティングした。それをドラコは漫然と見ていた。

(ハリーの居場所を示せ、ハリーの居場所を示せ……)

 ドラコはクリスと一緒で、占いなんて信憑性のないものだと思っているのだろう。それを否定する気はないが、今のクリスにとって、ハリー達と再会できるなら、藁どころか苔にもすがりたい気持ちだった。
 クリスが念じながらペンデュラムをゆっくり移動させると、ずっと真下を示していた石が、ある一点の上でクルクルと回り出した。

「見ろ!反応があったぞ!!」
「ここは……旧グリニッジ天文台か」
「本当にこんなところにポッターが居るのかい?」
「分からないけど……もしかしたらここに分霊箱があるのかもしれない」
「ん?分霊箱ってなんのことだい?」

 ……そうだった。そうだった、そうだった、そうだった、そうだった、そうだった!!
 マルフォイ邸から逃げ出した後、ハリー達と合流する事ばかりに気を取られ、ドラコに旅の目的を話すのをすっかり忘れていた!!
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