第12章 【共同生活のすゝめ】
先生の言う通り、手ェーンの先端に付いているクリスタルが、勝手に円を描くように回り始めた。実に簡単でシンプルな占いだ。
だが単純が故にフーチはその特性上、イギリス中のパワースポットにも反応するため、的確にハリー達の行方や分霊箱の探索には向いていないという難点がある。
しかしハリー達が『数占い学』で行き先を決めているのなら、こちらも同じく『占い』で探すのもありかもしれない。
「あとはドラコの言っていた情報のかく乱ですが……」
「それは僕ら不死鳥の騎士団に任せてほしい。寧ろそうしないと情報の統括が出来ず、こちらの作戦の失敗を招きかねない」
そうだ、打倒ヴォルデモートのキーパーソンである自分たちが動けば、当然騎士団にも、強いては世界にも影響があるのだ。
クリスがルーピン先生の目をしっかり見ながら頷くと、ルーピン先生も目を輝かせながら頷いた。
「そうだ、分かっていると思うけれど、『姿現し』はあまり多用しないほうが良い。行き帰りを考えて、1日に2回程度が上策かな」
「どうしてですか?」
「どうしてって……姿現しは魔法省が関わっているって知らなかったのかい?試験の時に魔法省から役員が来ていただろう!?」
何を今更、とルーピン先生は声を大にしてそう言った。
「もちろんイギリスに住んでいる全魔法使いの記録が集まるからデータはすごく膨大だが、やろうと思えばクリス、君を特定することもできるんだよ?」
「そんなまさか」と言いかけた時、クリスはハッと思い出した。
あれは忘れもしない5年生の時。夜中に煙突飛行を使ってシリウスと会話していたら、暖炉の端からシリウスを捕まえんと、アンブリッジの醜い手が伸びていたのを。
つまり『姿現し』を多用すると、魔法省に捕まる可能性が増すのだ。しかも最悪ロンのように、体が「ばらける」可能性もある。
「それじゃあ今まで私たちが無事だったのは……」
「運が良かった、と言うほかないね」
ルーピン先生がそう言うと、シリウスも揃って同じため息を吐いた。
2人からしてみれば、クリスは自分が世界を動かすキーパーソンの1人だという自覚が足りず、とても危なっかしく見えるようだ。それも踏まえ、ルーピン先生がこんな提案をした。