第12章 【共同生活のすゝめ】
クリスの一言を皮切りに、みんな腕を組んで考え込んでしまった。暫しそうしていると、ルーピン先生が参考までに、これまでどうやって行き先を決めていたのかクリスに訊ねた。
それを問われたクリスは、気まずい半分、恥ずかしい半分の気持ちで「ハーマイオニーの数占い学で……」と小声で答えた。
すると案の定、他の3人が驚きのあまり大声を上げた。
「はあ!?数占いで行く先を決めていただって!!?」
「それは正気かい?いや、占いを馬鹿にするわけじゃないけれど……」
「時々は皆で推理して行き先を決めることもあったのですが、なにぶん情報が少なくて……」
シリウスだけでなくルーピン先生にまで正気かと疑われ、クリスは恥ずかしさと気まずさで、今すぐ泡になって消えてしまいたくなった。
シーンと水を打ったように静かになった屋内で、突然ルーピン先生がポンと手を叩いてこんな提案をした。
「でもまあ、占いも馬鹿には出来ない。例えばこんなのはどうだい?」
ちょっと待ってて、と言ってルーピン先生は部屋の奥へ姿を消した。
その途端、取り残された3人の間に妙な緊張感が漂った。例えるならばドラコとシリウスが、クリスを挟んで極寒の氷上で睨み合ってる感じだ。
こんな雰囲気でこれからやっていけるか、クリスは少し心配になった。
とりあえず今の自分にできることは、双方の怒りが爆発しないよう、常に冷静に間に立つことくらいだ。後はどうにかこれ以上仲を悪くさせない為には、どうしたら良いか……。
そうクリスが思案にふけっていると、大きな紙と小さな箱を持ってルーピン先生が戻ってきた。
「おまたせ、ちょっと道具を探すのに手間取ってね」
そう言ってルーピン先生は、テーブルの上に大きいイギリス全土の地図を広げた。それと同時に、箱から細いチェーンのついたクリスタルを取り出した。
「先生、それは?」
「これはダウジングの1つで、フーチと言うんだ。このペンデュラムと呼ばれるクリスタルを地図の上に垂らすと……ほら、くるくる回り始めた!」