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ハリー・ポッターと贖罪の代行者

第12章 【共同生活のすゝめ】


 クリスは下を向いて考え込んだ姿勢のまま、ドラコのローブのそでを小さく引っ張った。そして僅かに上目づかいをしながら、ギュッと両手を握った。

「ドラコ、離れ離れはもう嫌だ。ここなら結界もしっかりしているし、ここを拠点にハリーたちを探そう?」

 クリスの作戦、それは可愛くおねだり作戦だった。
 ドラコは蒼白だった顔をわずかに赤くし、ぐぐぐっと返事を飲み込んだが、努力もむなしく結局最終的に「分かった」と告げた。
 さて、次はシリウスだ。クリスはシリウスに屈んでもらうようジェスチャーし、その耳元でそっと囁いた。

「眠れない夜、傍に居て欲しいんだけれど……駄目か?」
「うっ……全く、どこでそう言う口説き文句を覚えてきたんだ?」

 あれほど可愛がっていたクリスのおねだりに、NOと言い返せなかった自分を悔やむシリウスだった。

 何はともあれ、ドラコとシリウスを見事口説き倒したクリスは心の中で「我ながら良い仕事をした」と自画自賛した。
 それにしても、拠点探しがこんなにスムーズに行くなんて思っていなかったし、それがルーピン先生のお家だなんて、クリスとしては夢のような話だった。
 しかし問題はこれからだった。拠点を得られたのは良いが、問題はハリー達を探す方法だ。クリスはルーピン先生とシリウスにハリー達を探す良い方法はないか尋ねた。

「ハリーとハーマイオニーの消息は全く分からないのかい?」
「はい……テントの周りは常に結界が張ってあるし、ハリーは常に移動時には透明マントを使っていたので、こちらから見つけるのはかなり困難かと……」
「結界、姿くらまし、透明マント……確かに探すのは厄介だね」
「だから言っただろう。君が闇の陣営に堕ちたと言う噂をでっちあげるって」
「噂をでっちあげる?どういうことだい?」

 ドラコの妙案に、ルーピン先生が興味深そうに尋ねた。

「簡単に言うと、クリスが闇の陣営に堕ちたという噂をでっちあげてポッター達を釣るんです。同時に我がマルフォイ家が闇の陣営から離反したという噂を流せば、当然僕かクリスに接触を図るでしょう」
「つまり情報をかく乱させ、向こうの出方を待つと?」
「俺は賛成しかねる。そんな上手くいくはずがない、机上の空論だ」
「それじゃあ他に具体的な案が?」
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