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異世界とアイドル【sn】

第5章 好感度の距離





次の日。
部屋に鳴るノックに待機していたくせに飛びあがってしまう。
扉を開けるとニコリとした笑みを見せたのは目黒蓮だ。何をしても見惚れてしまうやろ。

「おは…ようございます」
「おはようございます。あ、よろしくお願いします」

差し出された手に私は応える。はぁ~……これ慣れろって?絶対、無理でしょ。
お互いにぎこちない。



他愛もない会話をなんとか続けながら、食事も済ませ、運動がてら中庭の庭園を歩く。庭園の朝は植物や咲いた花々に与えられた水が太陽の光に反射して眩しいほどに綺麗だ。
横を歩くめめは少し眠そうな顔。画面の先で見る姿よりも少し幼く感じる。髪のセットが上手くいかなかったのか空いている手で自身の髪を押さえていた。
何より花々と植物をバックにしためめは映える。眼福。

「あ、ね。これ見て」

庭園にある植物の前でめめが座り込む。その指先を目で追うと、植物の葉の上に黄緑色の虫がいる。

「かま…きり???うん?
なんか違いますね、ハサミ虫みたい」
「そうそう。俺も最初カマキリかと思った。でも全然違うよね。
虫とか平気?」
「割と平気です。Gは無理ですけど、カブトムシはいけます」
「Gとカブトムシって基準なの?」
「はい。Gは無理です」
「ふはっ、面白いね、それ」

私がきっぱり宣言するとめめは笑った。Gは人類みんな無理だと思うんだけどな。

「コイツさ。たまに見つけるんたけど、庭師の人から聞いたら花切り落とすんだって」

めめは黄緑色の虫を手に乗せると花のあるところへ誘導する。虫は咲いている赤い花のガクの下に狙いを定めると、刃を向けスパッと花を切り落とした。

「え、スゴイ!」
「でしょ?」

めめは落ちた花を拾うと、ジッとその花を観察しだした。何か納得したような仕草を見せたあと私に、はいと渡した。ナニソレ。
無駄にトキメかせるのやめてほしい。
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