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異世界とアイドル【sn】

第4章 Snow F


<Fukka Side>



異世界転生なんて夢物語だ。



俺は、目の前の状況に呆然と立ち尽くした。
あれよ?いくら長年仕事で一緒に過ごした仲間とは言え……目の前でディープなキスなんて生で拝むことなんて、あるわけがないからね?

「…っちょ…っ待て待て待て照っ!
と、とりあえず離れろ!」

一番近くで見守っていた阿部が照を彼女から引き離した。
彼女は俺達と一緒に異世界に飛ばされた一般人で……俺達のファンだ。
照と離れて、力尽きたのかパタリとベッドに倒れ込んだ。

「葵ちゃん?おーい…」

阿部が顔を近づけ、彼女に声をかけるが反応はない。
息はしているみたいだ

「気を失ってるだけっぽいけど…。
あ、照?」

照はベッドから降り、彼女を抱き上げ、自分の寝ていた場所に寝かした。

「ねぇ。一体……どうなってんの?
異世界エロゲー的な展開?照転移じゃなくて転生だった?」
「いや、どうゆう展開だよ…」

冗談交じりに佐久間が呟き、舘がツッコんだ。
数秒の沈黙。
俺達は照の返事を待った。



「……彼女を目にしたら、必要だと思ったんだ」
「は?」

照の返事ははっきりと答えにならず、それが気に入らなかったようで珍しく佐久間が今度は怒りを含めた声を出した。

「待て待て。ここで会議は駄目だよ。
葵ちゃんがいつ起きるかわからないし、まずは彼女の体調を優先すべき。
照、もう身体の調子はいいんだよね?」
「……ああ。俺もちょっと考えを整理したい。彼女にも謝りたいし、目が覚めるまで待たせてほしい」

そう言った照は少し冷静になったのかと思えば、横たわっている彼女の前髪を優しく撫でたんだ。
ついさっきまで青白い顔で横になってたヤツが、だ。
急にジェントルメン。
なんなら今はSASUKE参加してました!と言われてもおかしくないくらいに、やけに高揚した顔色になっている。

「うーん…わかった。
とりあえず皆で囲んでるとびっくりさせちゃうと思うし、葵ちゃん起きるまで皆外出てて。俺、照と一緒に残るから」

俺らは消化不良のまま、阿部に部屋を追い出された。
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