第6章 初期刀と新たなる刀剣男士
「主、待たせたな!」
スーッと障子が開いて内番姿の鶴さんが出てきた。
『わぁ!戦闘装束もカッコイイけど内番服の和装もいいね〜!』
「ありがとな、主!」
ニカッと笑った鶴さんが可愛い。
心に傷を持ってまだまだこの本丸にも慣れていないだろうに
笑顔を見せてくれる鶴さんはやっぱり優しいと思う。
『よし!じゃぁ鶴さんの着替えも終わったし、朝餉食べに広間に行こうか?』
「あぁ!朝餉はどんなのか楽しみだ!昨日も思ったが、主は料理上手なんだな!」
『ふふっ笑 ありがとう!
でも料理上手なのはきっとおばあちゃんのおかげだと思う』
「主は主のおばあさんに料理を習ったのか?」
『そうだよ!おばあちゃんね、どんなに疲れてても、どんなに大変な時でも、必ず一品だけは手作りしてたの』
「主のいた時代には出来上がったご飯もあったんだろう?
なぜ疲れてる時までわざわざ手作りしたんだ?」
『私やおじいちゃんに健康でいてほしかったからって、入院してる時に聞いたの。』
「健康のため?」
『うん。他の料理は買って来たものなんだから、一品だけ手作りでも栄養は偏るし健康っていうのは無理じゃない?って私もおばあちゃんに言ったんだけどね』
『おばあちゃんにとっては気持ちの持ちようの問題だって言われちゃった笑』
「ん?どういうことだ?気持ちの問題で健康になるのか?」
『うぅん、普通に考えれば気持ちだけじゃ健康にはならないし、栄養も偏るよ笑
でもね、ことわざにあるじゃない?
〈病は気から〉とか〈病は口より入り禍は口より出ず〉って』
「人間はそういうことわざを言ってたな」
『おばあちゃんも同じだって思ってたみたい笑
1つでもおばあちゃんの健康に気を使ったお料理を食べれば
栄養が偏ってても健康で元気に過ごせるって笑』
「主のおばあさんは随分ポジティブなんだな笑」
『私もそれを聞いた時は病室で静かにしないといけないのに、笑っちゃって笑
相部屋だった他の患者さんも話が聞こえてたのか笑ってたの笑』
「そうか…なら主の料理上手なところと、前向きな考え方はおばあさん譲りなんだな」
『っ!ふふ笑 鶴さん、ありがとね!』