第5章 動き出した本丸と初期刀の初日
『あっ!鶴さんがそんな顔をする必要はないんだよ!!』
『刀剣男士をこの本丸に迎える時は、全部新しい物にしようって思ってたんだけど、ここに来る子はきっとほとんどが傷付いてる子達でしょ?』
「…そうだろうな」
『だから、心機一転のつもりで新しい物をって思ったんだけど
その中でも1つや2つは古い物もあってもいいんじゃないかなって思い直したの』
「…?どういう意味だ?」
『ここに来る子は辛い思いをした子かもしれないけど、きっと1つや2つくらいは楽しい思い出もあったんじゃないかなって…
他にも審神者の力が弱まって仕方なく幸せな場所から離れなきゃいけなくてここに来る子もいると思うの…』
「………」
『金繋ぎもそうだけど、日本の伝統文化のものは、
昔の日本人が物の無い時代に少しでも大切に長く使えるようにって、少しでも生活を楽しく豊かに暮らせるようにって思って受け継がれてきたものが多いと思うの』
『だからここに来たみんなには、全てを新しくする必要はないよって。割れちゃってもこうして世界に1つだけの唯一無二の物になれることだってあるんだよって。
私の気持ちや想いだけじゃなくて、物でもそれを示したいなって思って鶴さんには金繋ぎの湯呑みを用意したの』
「主が言いたいことも伝えたいことも分かったが、主はこれを見てその祖父母の事を思い出して悲しくなったりはしないのか?」
『ぜーんぜん!!寧ろ、今は、祖父母に感謝してるよ?
祖父母が伝統文化が好きだったから私も興味を持ったし、金繋ぎの事も知ってた!
それに祖父が刀剣好きだったから、こうして私も刀剣を好きになった!
その金繋ぎを見ると白地に金の模様が入って、鶴さんにしか似合わない湯呑みになった!
他の刀剣男士には違う色や柄の方が似合いそうだし笑
だから今はその湯呑みを見ると鶴さんしか出て来ない!!笑
私より鶴さんの方が似合う湯呑みになっちゃってる笑』
「主は強いな…」
『そうかな?』
「あぁ…羨ましいくらいだ」
『だいじょーぶ!鶴さんももっともっと強くなるよ!
今も十分強いけどね!』
「俺が言ってるのはレベルじゃなく心だぞ?」
『分かってるよ笑
その心が、鶴さんは今よりもっともっと強くなるって言ってるの〜笑』
「何で言い切れるんだ?」