第5章 動き出した本丸と初期刀の初日
スタスタ スタスタ
『鶴さん、ここが鶴さんのお部屋だよ!』
スーッと障子を開けると…
政「おっ!やっと来たね?」
爽やかな笑顔と共に政府さんがお出迎えしてくれた。
『政府さん、荷物とか片付けとか任せっきりにしちゃってごめんね?ありがとう!』
政「いいんだよ!鶴丸との話もあっただろうしな?」
政「で、鶴丸!この部屋はどうだ?シエルちゃんが鶴丸にってこの部屋を選んでたけど」
「主が?」
『うん!あのね、鶴さん。このお部屋から突き当りが見えるでしょ?』
「あぁ、すぐそこのだろ?」
『そう!そこに2階に行ける階段があってそこが私の執務室兼寝室なの』
「そうなのか?」
『うん!この本丸はまだ鶴さんしかいないし、鶴さんもここでどうしたらいいかとか、
今までの本丸とは過ごし方も変わるから分からない事も最初は多いと思うの。
だからすぐに私のところに迷わず来れるお部屋で、日当たりも良くて狭過ぎず広過ぎないお部屋って考えたら
ここが1番いいかなって思って選んだの♪』
どう?気に入ってくれた?って笑顔で鶴さんに問うと
鶴さんは6畳ほどのお部屋をもう一度見て
「…うん、いいな、この部屋!気に入ったぜ、主!」
って言ってくれた。
ここに来てまだ数時間、なのに鶴さんは私の勘だけど
早くここに、私に、慣れようと、少し無理をしているような表情に見える。
でもそれは嫌々にではなく、早く慣れて楽しい事をしたい!そんなポジティブな思いのこもった気持ちが焦りとして出ているのが
私には映って見えたんだと思う。
『鶴さん』
「ん?なんだ?」
『これから時間は飽きるほど、嫌になるくらい、腐るほどたくさんたくさんある。
だから慌てずゆっくり、鶴さんの楽しいって思えることを見つけていこうね!』
「っ……あぁ!そうだな!」
私の言葉で少しは、その焦り、ポジティブな思いからの無理も、
心配しなくても大丈夫だよって伝えたいと思って言った言葉は
鶴さんにはちゃんと伝わったような、そんな気がする。