第4章 鶴丸国永
真っ白な審神者は話の途中で泣き出した。
俺はまたしてもこの審神者に驚かされた。
ただ純粋に、俺を、刀を、想ってこの審神者は泣いているのだ…
あいつとは大違いだ、、
話を聞いて、泣いている真っ白な審神者を見ていたら
ふと、触れたくなってしまった…
貞坊が光坊と伽羅坊を思って泣いていた時、俺にはどうしようもなくて
ただ貞坊の頭を撫でてやることしか出来なかった。
この審神者が泣いているのを見た時、貞坊と同じように頭を撫でてやった。
だが、審神者に、女に、撫ででやるなんてした事がなかったし
小さな頭は力を込めれば簡単に壊れそうで少し怖くて
手が震えてしまった。
貞坊は光坊や俺に頭を撫でられるのが好きだった…
馴れ合うつもりはないと言いつつも貞坊に負けて、一緒に何かをした時
よかったな、と微笑んでくれる伽羅坊の笑顔が好きだった。
そんな貞坊にこの審神者の姿が少し重なって見えた。
だから同じようにしたら、貞坊みたいに笑ってくれると思ったら
更に泣きだして俺はどうしたらいいのか分からなかった。
あれだけ苦手だった政府に助けを求める目線まで送ったくらいだ
いろんな意味で驚いたもんだ…
だがあの審神者から自分の元に来てほしいと言われた時
あれだけ消えてもいいと思っていた気持ちは、ほとんど無くなっていた。
ただ、この審神者と過ごしたいと思った…
この審神者なら信じてもいいと思えてしまうくらい
怖いくらいに純粋で優しい力を持つ審神者だと知ってしまったから。
その後、真っ白な審神者は俺の仲間たちを綺麗にして丁重に扱ってくれた。
それだけでも俺にとっては十分嬉しかった…
それから審神者と政府と共に里親本丸に俺は行くことになり
その後もこの審神者はこの俺を驚かせてくれたものだ。
丁寧な物言いも無くなり、俺の事も鶴さんと呼んでくれると言ってくれた。
この本丸には時間遡行軍との戦いはないらしいが
ここでの暮らしが楽しみになった。
あんなに人の身で過ごすのが、心があるのが煩わしく面倒で諦めていたのに
新しい本丸に来て、新しい主と話してたら
こんなにこれからが楽しみになるとは思わなかった…
新たな主、これからよろしくな…!