第4章 鶴丸国永
門の前に誰かが来た事はすぐに分かった。
気配からも政府がいるということも分かった。
ただ、1人だけ政府でもない分からない気配があった。
こいつは誰なんだ……そう思った時だった。
急に本丸の空気が一気に変わった。
初めてだった
こんなに暖かく包まれているような優しい空気は…
ここに鍛刀されてから、この本丸の空気と
たまに出かけていた万屋等の店がある本丸の外の空気。
本丸の外の空気は他の本丸のやつらも来るし、政府が管理しているから普通だと思う。
だがこの本丸の空気が普通なのか、普通より酷いのかは俺には比べようがない。
だが、急に変わった空気は別の審神者の空気だと言うことだけはすぐに分かった。
そこでもう1人の気配が審神者であることに気付いた。
こんなにも清らかで暖かくて優しい力を持つ審神者がいるのかと思ったら
悲しくなったと同時に、この審神者の元にある刀剣男士たちが
とても羨ましくなった。
この審神者のいる本丸に、俺は、鶴丸国永はいるのだろうか…
いるのならきっと幸せに過ごしているのだろうなと羨ましく思った。
そんな事を考えていたら門が急に勢い良く開いた。
その先にいたのが真っ白な服を纏った女と政府だった。
その審神者はとても穏やかに丁寧に、でもどこか緊張しながら
ゆっくりと俺に話しをした。
《里親本丸》そういう本丸がある、というのは万屋に出かけた時に
風のうわさで聞いたことがあったが、本当にあるとは知らなかった
出かけると言っても、基本的に俺達はこの本丸に閉じ込められ
外の情報を手に入れる事が出来なかったからだ。
しかもあれだけの力を持ちながらも審神者になりたてだというのも驚いた。
この俺を驚かせるなんて、こんな感情は久しぶりだった。