第3章 私の初期刀
『……っ、ごめんな、さいっ!私は…っ、現代にいる時からっ、貴方様が…っ、貴方様が、大好きだったのにっ……!』
『貴方様が刀の…っ、姿で、初めて会った時からっ、どこかで展示される度に…っ、会いに行っていたのにっっ!』
『こんなにっ…、ボロボロで、たくさん嫌な思いも…っ、してきたのに、私の話を…、聞いてくださる優しさがっ……、辛くて、でもそれでもっ、会えたのが、話せたのが嬉しくて…っ!』
私はしゃくりあげながら、涙を拭いながら懸命に彼に伝えようとした
でも上手く話せなくて、それがまた悔しかった。
彼は、鶴丸国永はこんな情けない姿の私を見て飽きれて切り捨ててしまうだろうか。
面倒だと、邪魔だと、煩いと思わせてしまっただろうか…
やっぱり、私には刀剣男士たちを救えるような力はないのだろうかと思っていた時
空気が動いた
鶴丸国永がゆっくりと私との距離を詰め、近付いてきた。
その気配に気付いた私は慌てて彼にまた頭を下げていた。
『ごめんなさいっ……、ごめんなさいっ…!!』
私は今から切られてあの世へ行って、政府さんに連れられてまた私の本丸で目を覚ますのだろうなと
刺される覚悟を決めた。
でも、私の目の前で止まった彼は刀を抜かなかった。
私は不思議に思い、目だけ上に向けて彼の顔を見た。
すると彼は
スッと片手を伸ばし、私の頭に手を置き、ゆっくり撫でた。
何が起きているんだろう…
そんな感情しか私にはなかった。
でも彼のやせ細った手はぎこちなく不器用ではあったものの
とても大きくて優しく温かいものだった。
それが余計に私の涙を溢れさせた…
それに驚いた鶴丸国永は驚きつつも不安そうにだが
ゆっくりと私の頭を撫で続けてくれた。
あぁ、なんて優しい刀なんだろう。
話を聞いてくれるだけでいいと言ったのに…
急に泣き出したりしたのに…
今までずっと自分自身の方が辛かったはずなのに…
急に現れて迎えに来たと勝手を言う私を彼なりに、分からないなりに、慰めようとしてくれている。
なんて優しい刀なんだろう。