第3章 私の初期刀
『まず私はシエルと申します。所謂、審神者名ってやつです。』
鶴丸国永は静かに、でも殺気はそのままに目を鋭くさせ私を監視するように話を聞いていた。
いつでも抜刀出来るよう、刀に手を添えたまま…
私はそのまま続けて話す。
『私は先日、審神者に選ばれたばかりの新人です。後ろに控えている政府さんは私の本丸の専属政府さんです。』
鶴丸国永はチラリと政府さんを見るとまた私に視線を戻した。
『鶴丸国永様は里親本丸、という本丸を聞いたことはありますか?』
私は彼に尋ねてみた。
「……名前は聞いたことがある。だがどう言うものかは知らん。おれはずっとこの本丸にいたからな」
ずっとここにいた、それはこの本丸内にいた、ということだろう。
『里親本丸はたくさんある本丸の中で、今まで1つしかなかったんです。でもつい最近、2つ目の里親本丸が出来たんです。』
「2つ目…?」
『その里親本丸の審神者になったのが、私なんです。今から里親本丸がどんなところか簡単にですが、お話しますね!』
彼から殺気が少し消え、何を言い始めるんだ?という興味に近い雰囲気に変わりつつあった。
私は彼に里親本丸がどんな本丸なのかというのを全て話した。
私が話してる間、彼はやはり静かに聞くだけで何も発したりはしなかったがちゃんと聞いてはくれていた。
『里親本丸とは、そういうところです。』
『そして、ここに何をしに来たのか。既に鶴丸国永様は気付いているとは思いますが私は貴方様をお迎えに来ました。来るのが遅くなってしまったこと、大変申し訳なく思います。』
私は静かに頭を下げたが、その拍子に堪えていた涙が地面にポタリと落ちた。
鶴丸国永は私が泣いていることにすぐに気付き、今まで何も発さず聞いていたのに声を掛けてきた。
「…なぜ、泣いているんだ?」
来るのが遅くなったとか、里親本丸を詳しく知らない彼からしたらそんなことはどうでもよかったのか
それよりも私が泣いている事に興味を惹かれたようだ。