第3章 私の初期刀
目の前の鶴丸国永の姿を見て私は泣きそうになった。
今まで見てきた彼は、刀の姿でしかないけれど
とても綺麗に輝き堂々としていた。
なのに今、目の前に居る彼は暗い影を落としボロボロだ。
声を掛けようと口を開きかけたその時…
「…ここの空気を今変えたのは、君か」
彼の方から聞いてきた。
私は素直に答えた方がいいと判断し、そのまま答えた。
『はい、私です』
「…そうか、、なぜだ」
なぜか、それを問われた瞬間、さっきまで少し弱まっていた殺気が一気に強くなった。
解答によっては、すぐにあの世行きだろうと分かった。
それは政府さんも分かったようで、刺された時にすぐ動けるように呼吸を整えているのが伝わってきた。
『ふぅ……』
私は1つ深呼吸をして、答えた。
『鶴丸国永…様』
『貴方様にお話があるんです、殺気はそのままで構いません。少しばかり私に話をする時間をくれませんか?
私の話を聞いてからでも、私を殺すのは遅くないと思うので…』
私は最後に少しだけ微笑むように笑みを見せ、鶴丸国永を刺激しないように努めてゆっくり落ち着いて声を発した。
鶴丸国永がこの私の提案に乗ってくれるだろうか…
何も聞かず襲って来るだろうか…
数秒の間に私の脳内はその事でいっぱいになっていた。
すると、鶴丸国永は
「…これだけの力を君は持っている。それにその言い方、死ぬ気でここに来たんだろう?最後に話くらいは聞いてやるさ」
あれ?思ったより声が落ち着いてる?
それに殺気はもちろん強いままだが、話は聞いてくれるっぽいし
死ぬ気で来たことも伝わってる…?
まぁ、不老不死だから死んでも生き返るしそしたらまたここへ来る予定でもあるけど、、、
政府さんも鶴丸国永の声から見た目と殺気に反して、落ち着いてることに少々驚いているようだ。
普通の鶴丸なら「驚いたか?笑」って喜びそうなくらい、政府さんの顔が今まで見たことないような顔をしている。