第3章 私の初期刀
私はスッと目を閉じた。
政府と審神者の契約を交わした時に自然と身体に身についていたものの1つがこの審神者の力を使うこと
何を唱えるわけでもなく、何をするわけでもない
ただ、心の中で思うだけ…
(『この重たい空気を綺麗に…』)
私の周りにパァッと白い光が丸く私を包むように現れ
それは一気に目の前の本丸全体を包み込むように広がった。
悪臭はまだあるものの、重たい空気が無くなり綺麗に浄化されただけで一気に息がしやすくなった。
悪臭は、、仕方ない…口で息をして鼻から吸わないように気を付けるしかない…
私が目を開き政府さんの方を向くと、政府さんも空気が変わったことに気付いた様で「さすが」と言ってくれた。
『政府さん』
政「ん?」
『政府さんも薄々気付いてると思うけど、さっきより殺気が弱くなってる気がするんだけど…』
政「だよな〜。鶴丸が空気を変えた力の強さを感じ取って、殺気を少し抑えたのかもしれねぇな?」
『なら、入ってすぐブスリ、なんて可能性は少し減ったかな』
政「入ってみないと分からんが、もしかしたらな」
『………………』
『っよし!!』
私は気合いを入れ直すとボロボロになっていた本丸の門を両手で思いっ切り開いた。
門の外にいた時より更に悪臭が酷い…
でも臭いなんて気にしてはいられなかった。
開いた門の前には鶴丸国永が肩に刀を乗せて立っていたからだ。
それも元々は綺麗な黄金色に輝く瞳だったであろう目が濁り暗く影を落としてこちらを見ていた。
元々着ていた戦闘装束は私と同じ真っ白なはずなのに
彼の服は重傷の時と同じ、服ははだけてボロボロで肌も傷だらけであちこちに血飛沫を纏っていた。