第3章 私の初期刀
『……………ひどい状況だね』
政「おれたちが手を付けられない状況っていうのがよく分かるだろ?」
『うん…でも、何でここまで酷くなったの?ここまでなるにはかなり時間もあったでしょう?』
政「……それが、一瞬だったんだよ」
『一瞬?』
政「政府が駆け付けた時にはすでに鶴丸国永の瞳に光が宿ってなかった。
元々鶴丸国永っていう刀の土台の性格はイタズラっ子でおちゃらけてるような感じの子がほとんどの本丸で見られる。
だが、この本丸の不正に気付き政府が駆け付けた時、この本丸のほとんどの刀剣男士が折れているか、腐敗しかけているかのどちらかで生きているのは鶴丸国永、一振りだけだった」
『瞳に光が宿ってなかったっていうのは?』
政「鶴丸国永ってな、ある意味どの刀剣男士よりも人の身でいることを楽しんでる所があるんだよ。ここの鶴丸国永にも会ったことはあるが、その時はまだ瞳に光もあった。」
『刀剣男士たちの元々の性格は予め把握はしてるけど、鶴丸国永はおちゃらけて見えるけど、平安時代から生きて経験豊富だからかしっかり者というか、大人な面もある性格だよね?
彼自身がそれを演技で誤魔化してたって可能性は?』
政「演技か…鶴丸ならありそうだな。あの時に鶴丸のいるあの本丸で既に何かがあってそれをバレないようにする為に、普段通りに振る舞って隠していたとすれば…」
『っ!政府さん!!鶴丸国永に最後に会ったその日はいつ?最近?』
政「確か2週間、いや3週間前くらいか…?」
『じゃぁ、その前からだとしたら…』
政「シエルちゃん、その資料にも載ってるけどその鶴丸は自分の本丸の主の首を斬ってる。
どの男士も何も無く、自分の主の首を斬ったりはしない…」
『自分の主の首を斬ってしまいたくなるほど、鶴丸国永は追い詰められて、演技も出来ないくらいになってしまってた。
審神者の首を斬れば本丸の維持と男士の人としての姿を保てなくなることは、刀剣男士も知ってるはず。それでも、自分が消える事になっても審神者との縁を切りたかった…』
政「シエルちゃんのその考えだとすれば、鶴丸国永の身体はもう1週間も保たないはずだ」
『っ!政府さん、行こう!!彼のいる本丸に!!』