第3章 私の初期刀
私は思い切り服の袖で涙を拭うと、政府さんに言った。
『政府さんっ!!私、この鶴丸国永を初期刀に迎える!!』
政「っえ?シエルちゃん、本気で言ってる!?政府ですら手が付けられずにいる子なんだよ!?」
『本気です!!それに政府でも手が付けられないような子を迎え入れるのがこの本丸の、私の役目です!!』
政「それはそうだが……でも、その鶴丸国永がいる本丸に入った瞬間に刺されて死ぬかもしれないんだよ!?」
『政府さん、私、不老不死になったんだよ?忘れてない?笑
何度刺されて死のうと、何度彼に罵倒されても、何度でも彼の本丸に行って、彼を助けるよ˶ᵔ ᵕ ᵔ˶』
政「…………、はぁ〜。初めて会った時から一度決めたらそれを貫く頑固な子だったね。忘れてたよ」
『頑固じゃなくて一途って言って!!
というか、それじゃぁ、彼の元に行ってもいいの!?』
政「いいよ。すぐにその本丸の資料を出すから服を着替えておいで」
『っはい!!』
政府さんにタブレットを空中でスライドさせ、渡し鶴丸国永のいる本丸の状況が分かる資料を出してもらっている間に
私は真っ白な戦闘装束に着替え髪を整え、政府さんの元に戻った。
『っ、政府さん!』
政「ビックリするぐらい準備早かったね」
『早く迎えに行きたくてっ!!』
政「はいはい笑 資料。出しといたよ」
『ありがとう、政府さん』
私がその資料に目を通すとかなり、いや、何故こうなるまで放置されていたのかと
疑いたくなるくらいに酷い内容だった。
130番 太刀、鶴丸国永 本丸番号87-◯◯◯
本丸番号を見る限り、真面目に審神者として仕事をしていれば中堅くらいの安定した本丸だったはずだ。
本丸内の状況は審神者が本丸をほとんど保てていないほど、本丸がボロボロで
政府の人が頑張って撮ってくれたであろう写真を見る限り、折れた刀や、何とか人の形を保ってはいるが腐敗が進んだ男士の姿が本丸内や庭などあちこちに転がっていた。
本丸内の壁にも刀が刺さっていたり、短刀や脇差しの上に打刀や太刀が重なるようにあったりもした。
きっと兄弟や刀派が同じ子が守ってこうなったのだろう…
本丸内のあちこちに血が飛び散り悲惨な状態だった。