第3章 私の初期刀
政「……この刀は」
政「鶴丸国永、だな」
私の涙はダムが決壊したかのように更に溢れ出した。
この仕事を引き受けると政府と契約を交わした時、必ずとは言えなくとも
可能性としては十分あることを理解していた。
現代にいた時に大好きだった刀もきっと苦しんでいるかもしれないことを…
でもこんなに早く、そんな時が来るとは思ってなかった。
私が大好きな三日月宗近と鶴丸国永は人の身を持っても、審神者からの人気がすごいと、、
しかもレア刀だ…だからこそ大事にする審神者が多いと聞いていた。
だから里親本丸の審神者としては出会わないかもしれないと思っていた。
むしろ、出会わないでほしいと
出会うなら演練などに行った時に見かける程度で済んでほしいと…
他の刀剣男士たちには申し訳ないけれど二振りには特にその想いが強かった。
なのに初期刀を選ぶ段階ですでにタブレットには鶴丸国永の名前があった。
刀剣男士の名前の横にはランクが示されていた。
折れる寸前、人の身を保てる残り時間、そして危険度
前者2つはそのままの意味、最後の危険度と言うのは彼らの神域、つまりは本丸内に入った瞬間に刺される可能性があったり
政府が保護しようにも近付けないくらいの殺気を放たれて政府すらも手が付けられず
人の身が滅び、刀の状態に戻るのを待っているような状態のこと。
そのランクは審神者ランクと同じくEからAまである。
Aランクに近付くほど危ない状態にあるということ…
私がタブレットの中から見つけた鶴丸国永は一振りのみ…
ランクはA
つまり、最悪の条件が揃っているということ。
今すぐにでも動かなければ彼は人の身でいられず、滅び腐敗し
刀の姿になってからようやく政府が本丸内に入れるようになる状態だということ。
刀の姿になれば新しい器、人の姿を新たに作ると政府さんから話は聞いていたけれど
それではあんまりだ…
Aランクになってしまった彼が器を変えたところで、もし今までの記憶を消したとしても
心の傷までもが完璧に消え、変われるわけがない…
そんなのあまりに酷だ…
ただでさえ、今まで刀の姿の時から平安時代から苦労してきた刀なのに
人の姿、心を持ってまでも苦しまなければならないなんて
私には耐えられなかった………