第9章 初期刀のワガママと主のお仕事
「主!片付け終わったぞ!」
『ありがとうね〜!』
「いや、今朝方まで主には無理をさせたからな…」
『もぉ〜、そんなショボくれた顔されると私なんか損した気分になるじゃない!』
「……損?」
『そうだよ〜、確かに腰痛いし動けないけど、でもこれで鶴さんが私には甘えていいんだって、ワガママも言っていいんだって思ってくれて、ニコニコ笑顔でいてくれないと私、全身痛いのに損した気分になる!』
「………っふは!そうか、そういう考え方もあるんだな笑
なら主!俺は主に礼をしたい!何かしてほしいこととかあるか?
主が動けない分、俺が代わりに動く!」
『あ、じゃぁ私お風呂に入りたいの!湯殿まで支えてもらえたりする?流石にこの状態で1人で湯殿まで行くのは途中でコケそうで怖い…笑』
「おっ!そんなことでいいなら全然いいぞ!」
『じゃぁちょっと服とか準備するから待っててもらっていい?』
「俺が代わりに取ってくるか?」
『いや、大丈夫…笑(さすがに下着とか見せれないって)
よし!これで準備OK!鶴さん、手を貸して……っきゃっ!』
鶴さんに手を貸して貰おうとしたら急に浮遊感が訪れて反射的に目を閉じていた。ゆっくり目を開けると鶴さんにお姫様抱っこされてた。
『つ、鶴さん!?』
「手を貸して歩いて行くよりこの方が早いだろ?」
『そ、それはそうだけどっ!!』
結局その後、鶴さんは降ろしてくれる気もないようでスタスタと私を抱えて湯殿まで運んでくれた。ていうか、その華奢なスタイルのどこからこんな力が出てるの?
鶴さんより私の方が体重、絶対重い気がするんだけど…
『あ、鶴さん…ここでいいよ?』
私は湯殿の扉の前で声をかけた。
「大丈夫なのか?さっきも歩けなくて産まれたての小鹿みたいに足がブルブル震えてたが…」
『さすがにこれ以上は恥ずかしいし…』
「主の身体ならもう十分見たし、そんな恥ずかしがらなくてもいいと思うが…?」
『それとこれとは別なの!!』
「ん〜、わかった。その代わり主が出てくるまで俺はここで待つからな?」
『え?』
「だから何かあったら中から叫んでくれ!すぐに行く!!」
『わ、わかった。』
何を言っても聞かなそうな顔をしてたので諦めてお風呂に行くことにした…笑