第2章 チャットルーム
「えー?!ミツってそんなに小さいの?」
「ええ、小さいわ…」
「マジで可愛すぎる…」
そう、言ってくると、何故だか興奮しているように私には感じたのだ。
その時、私はトオルの年齢も、顔も知らなかった。
知っているのは「ペイネ」と言うハンドルネームだけだった。
「ペイネは身長どれくらいなの?」
「え?俺は180センチあるけど…」
「随分、大きいのね…」
「最近では普通だと思うよ…」
とは、言われても私はそんなに大きいのか、と感じずにはいられなかった。
私は、自分の背が小さい為なのか、あまり背の高い男性は好きではなかった。
何故なら、歩いて話などをする時、相手の身長が余りにも高すぎると顔を見上げてしまうからだ。
なので、私は小柄な男性が好みだった。
夫の誠一も身長は167センチ程しかなかった。
一緒に並んで歩いても、そんなに苦にはならなかったのだ。
尚も、トオルは聞いてきた。
「ミツは独身?」
「独身じゃないわ…」
「え?結婚してるの?」
「ええ、してるわよ…なんで?」
この時、トオルからの返事が少し遅かったのを覚えている。