第1章 プロローグ
そんな、ことを考えながらキーボードを叩いていた。
ここは出会いのチャットルームなのだ。
私のこの乾ききった心と身体を満たしてくれる男性はいるのだろうか。
私は、淡い期待を胸にキーボードを叩いていた。
この頃、新しい出会いを私は求めていた。
人妻にとってそれはとてもイケナイことだと知っていた。
だが、心と身体が疼くのだ。
満たして欲しいと心と身体がそう叫んでいた。
そんな時だった。
私は、そのチャットルームの管理者である男性とかなり親しくなり、プライベートメッセージで話すことが多くなっていった。
そのチャットルームの管理者はとても若い男性の様だった。
それとなく年齢を聞いてみた。
すると、何と私よりも14歳も年下だったのだ。
その彼と、恋に落ちるとは思いもしなかった。
それも、条件付きの恋だったのだ。
私は、その条件を言われた時迷った。
けれど、彼のその優しさと憂いに惹かれたのだ。
私はその彼の条件を受け容れた。
その彼こそ長谷部透、25歳だったのだ。
それは、春に咲かせる桜の花に似ていた、
桜は春に花を咲かせ初夏には新しい若葉を芽吹かせる。
トオルは初夏に芽吹く若葉そのものだったのだ。