第4章 居酒屋
私は、とても心配になった。
「誠一さん、大丈夫?」
「大丈夫じゃないさ。お願いだから直ぐに帰って来てくれないか?」
「ええ、分かったわ…」
私は、事の次第をトオルに説明した。
トオルは少し残念そうにしている。
無理もないだろう。
もう少しでセックスまで持って行けたかも知れないのだ。
私もイケナイことだと思ったが、トオルと同じ気持ちだった。
もしかしたら、今日セックスが出来たかも知れなかったからだ。
「美都、帰るの?」
「ええ、悪いけど今日はもう帰るわ…ごめんね…」
トオルはとても淋しそうな顔をしている。
私が、バッグを持ち立ち上がった時だった。
トオルが私を抱き締めてきたのだ。
私はとても内心焦っていた。
「美都、もう一度キスして…」
私はどうして良いのか分からなくなっていた。
トオルにそう言われたのだが、誠一のことが気になっていたのだ。
「分かったわ。一度だけね…」
そう言うと私たちはキスをした。
それも、思いきりのディープキスだった。