第4章 居酒屋
ちょっと駅周辺を歩いたのだと思う。
少し歩いていると一軒の和風居酒屋が目に留まった。
その居酒屋は魚料理をメインに出してくれる店の様だったのだ。
「美都、ここの店にしない?」
「ええ、いいわ…」
店内に入ると金曜日の夕方とあって、大勢の人で賑わっていた。
二人だと店員に告げると、何故だか分からないが個室に通されたのだ。
本当は、カウンターでも良かったのだが、生憎満席だった。
そこで、個室に通された様だった。
個室は店の奥まったところにあった。
靴を脱ぎ、部屋に上がる。
「ご注文がお決まりになりましたら、お呼びください…」
そう店員は言い放つと部屋の扉を静かに閉めて行った。
トオルと居酒屋の個室に二人きりになった。
私の心臓はドキドキしていた。
お互いバッグを置き、席に座った。
トオルも何となく落ち着かない様だった。
「美都、飲み物は何にする?」
「え?私?そうね、日本酒にするわ…」
「いきなり、乾杯から日本酒かい?」
トオルはそう言うと笑うのだった。
私は、その当時ビールが飲めなかった。