第2章 チャットルーム
「私、トオルのことがとても気に入ったわ…」
「本当に?」
「うん。気に入ったわ…」
それを、打ち込むとトオルはちょっと間を開けてからこう打ってきた。
「美都だって、素敵だし、とても綺麗だと俺は思うよ…」
これを読んだ時、本当に心の底から嬉しいと感じたのだ。
夫の誠一からは「綺麗」だとか結婚してから言われたことがなかった様に思う。
結婚して人妻になり前回、ヤマザキと恋愛をした時のドキドキ感をこの時感じていた。
でも、トオルには27歳と言う若い彼女がいるのだ。
それも、来年には結婚することになっていると聞いた。
私は、心の中で諦めようと思っていた。
もう、私は39歳なのだ。
この年齢でまた恋愛などは無理だろうと思っていた。
でも、私の片思いでも構わないとその時は思った。
誰かを好きになっている時が一番幸せを感じられるからだ。
トオルは私からしたら、本当に幼く見えたし、そう感じた。
しかし、トオルはそんな幼い子供ではなかった。
もう、成人したひとりの男だったのだ。
この後、私の思いと裏腹に現実は動いてゆくのだった。
実に、男女の出会いとは摩訶不思議なものだと感じたものだ。