第6章 羊の王
太宰「さぁ行こう、仕事を終わらせるんだ。」
柚杏「中也はポートマフィアの仕事はしないよ」
白瀬「そうさ。もう人質はいないんだからな」
柚杏「行こうよ、中也!」
そう云い乍ら中也の腕を引く柚杏だったのだが、突然ふくれっ面になった。
そんな彼女とは裏腹に中也と太宰は驚いた表情。
「ッ、、、手前、、、」
柚杏と反対側にいたが中也の服の袖を引っ張ったのだ。
柚杏「ッ、、アンタ中也から離れなさいよ!」
再び中也の腕を引っ張る柚杏、然しも離さなかった。
驚いた表情で中也はを見ると、彼女と目が合った。
----行かないで。
そう彼女が云っている気がしたのだ。
中也は柚杏の腕をそっと振り払うと、驚いた表情をする柚杏。
「悪いがお前達だけで行ってくれ。」
白瀬「何云ってんだお前!」
「"荒覇吐"が先だ。犯人をどっちが先に見つけるか其奴と賭けをしちまった」
白瀬「お前が敵をぶっ飛ばすの皆んなが待ってるんだぞ!」
太宰「それくらいにしてあげなよ。彼は"自分の異能をどう使うのか自分で決める事が出来る"。そんな事は考えれば子供でも判るよ。議論の余地すらない。」
太宰は白瀬に冷たく云い放った。
太宰の言葉にその場にいた全員はなにも云い返す事はできなかった。
それが正論だからだ。
太宰「さぁ、行こう。おいで。」
太宰の言葉では中也から手を離し、彼の後を追う。
白瀬は立ち去る二人を睨みつけ、再び中也に視線を戻した。
白瀬「お前、まさか噂は本当なのか?"羊"を裏切ってポートマフィアの一員にして貰ったって」
「ポートマフィアは関係ねぇ!これは俺の問題だ」
そう白瀬に云い残し、中也も二人の後を追った。
「忘れるんじゃないぞ中也!素性も身寄りもないお前を受け入れたのが俺達"羊"ってことをな!」
立ち去る中也に白瀬は釘を刺した。
この時、中也の瞳が微かに揺らいだことをは気付いていた。