第6章 そっち系?
「それは……お、おそ松くんが…」
「…おそ松兄さんが…?」
「ぼ、僕のこと、そっち系だって言ってバカにしてきたから、ちょっとびっくりさせようと思っただけだよ!!」
「び、びっくり…??」
「そ、そう!びっくり!弱そうな僕に、いきなり押し倒されたら、びっくりするかなぁって、思って……だから、あの…あれはただの遊びで…」
「…ふーん?」
私の言葉を聞いて、チョロ松くんが納得したのか、「…キミって、弱気そうに見えて意外とそういうことするタイプの人だったんだ。おそ松兄さん、ガチでビビってたよ」と言っていた。
弱気そうに見えて…って、え、弱気そうに見えてたの?私って…。
ま、まぁ、納得してくれたなら、別に弱気でも意外でもなんでもいいんだけどさ…。
よ、弱気かぁ。
「は、反省してます…」
「…別に反省する必要はないと思うけどね。おそ松兄さんには、あれくらいがちょうどいいよ」
「え…」
チョロ松くん…もしかして、私のこと庇ってくれたのかな。
それとも、おそ松くんの日頃の行いは本当にやばすぎるから、キミが何とかしてよっていう意味も込められてるのかな。
「……確かに、それはそうかも」
え、トド松くんまで!?
長男のことなんだと思ってるの!?
まぁ実際、おそ松くんはめっちゃ最低だけど!!
やってることが小学二年生レベルだけど…!!
末弟にまでそんなことを言われてしまう始末。
もはや可哀想だ。
同情はしないけど。
チョロ松くんの言葉を聞いて、他の兄弟たちも「確かに」と思ったのか、先程までの私に対する「こいつマジか…」みたいな重い空気は、いつの間にかなくなっていた。
よ、よかった…。
「…ん?」
五人の中で、唯一納得していない様子の男の子が、私の手首を優しく掴んできた。