第6章 そっち系?
「お、重…!!」
私の腹部に乗っているおそ松くんが、私のことを逃がさないために全体重をかけてきている。
ちょ、ちょっと、おそ松くん…!?
そこまでするほど、嫌だったの…!?
殴られる覚悟で言い返してみたけど、まさか上に乗ってくるとは思わなかったよ…。
う、お腹が…!!
「中身は百歩譲って可愛くなかったとしても、俺の顔が可愛くなかったら、俺と同じ顔してるアイツらも、全員可愛くないことになるんだけど」
「いや他のみんなは可愛いんですけど、おそ松くんだけ可愛くないです」
「なんだよそれ!!みんな同じ顔だろ!!」
「そんなことないです、みんな違います」
「適当なこと言ってんじゃ…」
まずいな、このままじゃ埒が明かない。
本当は、適当に言い返してから逃げようと思ってたんだけど、このままじゃ身動きが取れないよ。
まぁ今回の件に関しては、私が悪い部分もあるんだけど…。
おそ松くん、私が「おそ松くんも可愛いよ」って言うまで降りてくれなさそうだし、こうなったら…。
ーーー逆に乗り換えしてやろう!!
「お前だって、顔だけのくせに……うわっ!?!」
よし、行けた!!
力で勝てる自身はなかったけど、おそ松くん、油断してたのかな。
案外すんなり押し倒せちゃったよ。
「なっ…なにすんだよ!!や、やっぱお前、そっち系だろ!!」
「…ん?」
なんか話がまたあらぬ方向に飛んでしまっているが、とりあえず、おそ松くんのことはこのまま拘束しておこう。
「は、離れろよ!!俺にそういう趣味はないんだよ!!」
「僕だってないですよ!!」
「嘘つけ…!!俺のこと押し倒しといて…」
「先に押し倒したのは、おそ松くんの方じゃ…」
「い、いいから離れろって…!!」
女みたいな顔をしている私に力で負けてしまったことが、彼は悔しかったのだろう。
おそ松くんはジタバタ両手両足を使って暴れながら、目元を真っ赤に染めてしまっていた。
も、もしかして泣きそうなのかな…。
いや、もし仮におそ松くんが泣いちゃったとしても、私は同情しないぞ。
なんか被害者みたいな顔してるけど、私だって、さっき同じことされたんだから!!
私も、おそ松くんの手首拘束してやる…!!
「や、やめろって、言って…」
ーーーガラガラッ。
「「あ…」」
「「「「「…は?」」」」」