第2章 お世話になります
「あ、ああ!そろそろ暑くなってきちゃったから、上がろっか春馬くん…!」
「え…う、うん…?」
動揺を隠せていないカラ松くんが、私の手首を力強く掴んできた。
彼は一刻も早く、この場から立ち去りたいのだろう。
私の腕を引いているカラ松くんが、バシャバシャと水音を立てながら浴槽の中を歩いている。
カラ松くんがこんなにも取り乱しちゃってるってことは、私が触っちゃった場所ってもしかして…いや…深く考えるのはやめておこう。
今回のことは、ただの事故だ。
だからもう、忘れよう。
ごめんね、カラ松くん…!!
「…カラ松くん?」
「上がるんじゃねぇのかよ、カラ松兄さん」
「……ごめん、やっぱりもう少し浸かりたいかも…」
そう言って湯船から上がろうとしていたカラ松くんは、私の手首を離していた。
目を閉じていて何も見えないから、私には分からないが、恐らくカラ松くんは湯船に浸かり直したのだろう。
え、私はもうそろそろ暑いから上がりたいんだけど…カラ松くんどこに行っちゃったんだろう…。
「か、カラ松くん…?どこ…?」
「ご、ごめん、春馬くん…。今日は十四松と上がって欲しい…かも…」
「あぁ?めんどくせぇなぁ…」
とか言いつつも、十四松くんは私の手首を掴んで、優しく誘導してくれていた。
カラ松くん、まさか…。
あ、あはは…。
本当にごめんね、カラ松くん…。