第1章 A
大野智、23歳。
高校卒業後、取り敢えず地元企業に就職はしてみたものの、どうにも水が合わず…
半年も経たずに退職。
その後は様々なバイトをしてはみたけど、どれも長くは続かなかった。
そうなると当然のように生活は困窮。
家賃滞納が数ヶ月続いた結果、アパートからは強制退去。
蓄え?
ンなもんあるわけないじゃん。
もしあれば、強制的に退去…なんてことにはなってないだろ?
じゃあ頼れる親は、って?
いたら、そうだな…
間違いなく頼ってるだろうし、アパートを追い出されたとしても、実家に帰れば良いだけの話しなんたけどさ…
残念なことに、俺にはその〝頼れる親〟ってのが無い。
結果……
金も、住む場所も無い俺は、公園でホームレス生活を送る羽目に。
とは言っても、食うモンと雨風を凌ぐのに困る以外は、割と快適…とまではいかないけど、取り敢えずどうにかはなってたし、そんな生活にも数日で慣れることが出来た。
まさか、特技でもある〝どこでも寝れる〟ってのが、ここで役に立つとは思ってもなかったけどな。
それに、同じ公園で寝泊まりしてる、所謂〝ホームレス仲間〟ってのも出来たりしてさ…
ボランティアだけなんだかがやってる、週に何度かある炊き出しなのも行ったりさしてさ…
案外寂しくはなかったけどな。