第1章 A
頭の中に無数の?マークを浮かべる僕の前に、なにやら細々と書かれた一枚の紙と、一本のボールペンが差し出された。
「これ、書いて」
「へ?」
更に増えた?マークに首を傾げながら、用紙を手に取った僕は、あまりにも細か過ぎる文字に、思わず目を細めた。
そこには住所から氏名、電話番号まで書く欄があって…
「ねぇ、入店…って、どこに?」
「決まってんだろ、店だよ、み・せ」
いやいや、入店ってくらいだから、店だってのは分かるけど、そもそもどんな職種かも聞いてないけど?
それに…
「俺、住所不定なんだけど…」
もしあるとさしたら…、公園の名前くらい?
「そっか、そうだよな…。じゃあ、そこは空けといて…、名前と電話番号、それから生年月日だけ書いといてよ」
「は、はあ…」
俺は言われるまま、素直に名前と電話番号、それから生年月日を記入し、用紙を翔の前に差し出した。
そしたらさ、翔の奴…
「入店、おめでとう」
ってさ、僕の右手をを掴んで、勝手に握手をして来て…
「え、ちょっと待って? 入店…って、どう言うこと?」
「あれ? 俺言ってなかったっけ?」
意味も分からず、ひたすら頷くだけの俺…
その俺に向かって翔は、キラッキラの笑顔を向けた。
「ホストクラブSTORMへようこそ」って。