こちら、MOB飼育係ver.ハロウィン2[dzl]
第1章 私は
10月。いよいよこの時がやって来た。
様々な風変わりなMOB飼育が流行る中、私……ライムは、ハロウィンMOBを飼っていた。
今思えば、人間たちの都合だけで売りに出されたハロウィンMOBたち。ただハロウィンというテーマというだけあって、ちょっとホラーチックな生き物が多かった。そんな中出会ったのが「ドズル社」という名前でセット売りをされていた彼ら5人のMOBたちである。
まず1人目はカボチャパンツマンのドズル。名前の通りカボチャパンツを穿いているMOBで、見た目は人間を手乗りサイズにした感じなのだが、何よりカボチャパンツ以外何も身につけていない。勧めると他の服を着てくれはするのだが、気づいたら脱いでいるので基本そのままにしている。彼にはカボチャパンツマンであることの誇りを持っているのかもしれない。
2人目はドラキュラのぼんじゅうる。この子も手乗りMOBの1人で、見た目は小さな人間みたいな姿だ。ワインレッド色のシャツに黒いコートを羽織っているドラキュラで、ちょっとマイペースな性格みたい。ドラキュラという名前だけあって、昼間はよく飼育カゴの中で寝ているが、夜中になると元気になるみたいである。
3人目は死神のおんりー。全身が真っ黒な闇の中から肋骨が浮かび上がっている姿で、顔も頭蓋骨だから誰もが怖がった。でも本当は誰よりも心優しく手先が器用な手乗りMOBで、私のことをいつも気遣ってくれているのだ。
4人目は猫のおらふくん。売られていた時はカボチャの被り物とカボチャの靴下を履いていた猫で、白い毛が可愛い猫である。今でも色んな着せ替えに応じてくれる優しい手乗りMOBだけど、彼も男の子なので女の子の格好をさせようとしたくなる気持ちをいつもグッと抑えている。頭を撫でると喜んでくれるのが可愛らしいところだ。
そして5人目はゾンビのMEN。最初見た時はびっくりした。ボロボロの服の格好をした豚の手乗りMOBで、二足歩行をしているのだ。ゾンビピッグマンのようにも見えるのだが、ところどころに黒い皮膚があったりツルハシをよく持ち歩いているところから普通のMOBと考える方が間違っているのかもしれない。
そんな私とドズル社手乗りMOBたちに、今日もあの日がやって来ようとしていた。
『こちら、MOB飼育係[ver.ハロウィン2]』