第2章 大正時代へ
「鬼殺隊に属するということは、辛く厳しい生き方になる。亡くなったり、辞めていく子供達も多い。それなのに君は、また辛いその道のりを、時を越えてまでして歩んでくれようとしている。君のその素晴らしい想いと力を貸してくれるなら、僕は嬉しい。きっと君は鬼殺隊にとって、大きな希望の光になる。」
「っ…」
(ーあぁ、安心する)
こんな風に優しい言葉を掛けてもらったのはいつぶりだろう。
家族を殺されてからは、常に強く生きねばならないと、ずっと気を張っていた。
あの方にも、他人にも甘えることは許されないと思っていた。
再びゆっくり顔を上げると、静かに微笑むお館様と目が合う。
(ー間違いない。この時代で必ず鬼を滅することができる。このお館様の元でなら。)
「有り難き御言葉。必ずやこの現代にて鬼を滅してみせます。」
私は深く深く頭を下げ、そう誓う。
「ありがとう。これからよろしくね。」
お館様はそういうと、あまね様に目配せする。
「…この後なんだけど、ちょうど柱合会議があってね。新しい柱の子の就任式も兼ねていて、もうみんな集まっているんだ。良かったら現代の柱の子達に挨拶をしていくかい?」
「柱…!」
私は思い切り顔を上げる。
「ーお館様。お願いの儀がございます!」
私はお館様にある事をお願いする。
それを聞いたお館様は、少し困った顔で笑う。
「…君のその笑顔。駄目だと言っても聞かなさそうだね。けれど、君も怪我が治ったばかりだから、あんまり無茶はしないように。」
お館様はくすくすとそう言い、あまね様も眉を下げて微笑む。
「ー有り難き。」
私は立ち上がり深々お辞儀をすると、腰に据えている刀の柄をゆっくりと撫で上げながら爽快と客間を出たのだった。