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愛を紡いで呪いを断つ

第2章 大正時代へ



ー幼い頃のあの惨状がまざまざと蘇る。











「呪言」という力を授かった私を、酷く虐げた家族や親族。

その家族達全員を呆気なく殺した鬼、黒死牟様。

"人間だった"肉片が辺りに転がり、屋敷中の壁に血が飛び散っている風景。

幼いながらに恐怖を覚えながらも、口から伝えたのは感謝の言葉。

家族全員殺されても何一つ泣けなかった私は、もしかしたら鬼とそう変わらないのかもしれないー






















「…か、…大丈夫ですか?」

「っ!」

夢を見ていた私は、女性の声に驚き勢いよく上半身を起こした。

「っ痛っ…」

急に起きたからか首が酷く痛み、私は思わず首をおさえて顔を歪める。

痛みが落ち着き、ゆっくりと顔を上げると、見たことのないとても広い和室に私はいた。

寝かされてる布団も大層立派なものだ。

部屋を見渡すと、見たことのない装飾品が上品に並んでいた。





「…首の傷がかなり膿んでいますので、あまり触らない方がよろしいかと」


声のした方を向くと、白髪の美しい女性がこちらを心配げに見つめていた。

私の寝ていた布団のすぐ横にいたようだ。




「…貴方は…」

「私は産屋敷あまねと申します。」

そう言って綺麗な所作で私に頭を下げる。

「産屋敷…ここはお館様の屋敷…!?お館様の名前は!?今は一体南蛮の歴だと何年……!?」

とても話が早い。
どうやら私は鬼殺隊最高管理者である産屋敷家に来れたようだ。









「まずは落ち着いてください。貴方様の体調が回復し次第、順次お話させて頂きます。」

「っでも…」

「酷いお怪我です。首の傷が深いため、しばらくは安静にしてください」

「……承知しました。怪我の具合がよくなりましたら、お館様にお目にかかりたいです」

この女性はお館様の御内儀だー



気配で神職の一族だとすぐ分かる。

産屋敷家は代々神職から嫁御を貰っているのも知っている。

ここは大人しく言うことを聞いておく方がいいのかもしれない。





私を保護し、手厚く看護をしてくださったことに感謝の意を伝えると、あまね様は優しく微笑む。そしてまた私に一礼すると、静かに部屋を去った。

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