第5章 音柱との任務 忍びの鬼
ー…
「よく休めた、ありがとうな杏寿郎」
鍛錬を終えて疲れたのだろうか。
無防備に縁側で横になり、寝息を立てている杏寿郎の頬を優しくツンツンとつつき御礼を言う。
は眩しそうに杏寿郎を見つめる。
普段はだいぶ大人びているが、寝顔はあどけなくて可愛い。
それにしても本当に炎柱の家系は色々とそっくりだ。
はそう思いながら近くにあった杏寿郎の羽織をかけてあげ、静かに屋敷を去ったのだった。
ー…
「ここが音柱の屋敷か」
夕暮れ時。
道案内を終えて肩に降りてきた鎹鴉を撫で、飛び去っていくのを見守る。
杏寿郎の屋敷に負けず劣らずの大きな屋敷の門の前に立ったは、大きく息を吸う。
「…たーーーー…ぁあっ!?」
ジャキジャキン!!!
叫ぼうとした途端、の足元に鋭利な武器が複数突き刺さった。
「よぉ、戦国娘!よく来たな!俺が音柱、宇髄天元様だ!」
「……クナイ。…すごい出迎えだな、天元。そなたは忍だったか…」
は至極げんなりした顔で、塀の上で寝そべる天元を見上げる。
「いきなり呼び捨てとは生意気だな。なんだ地味な顔しやがって」
天元はむくりと起き上がり、ヒョイとの前に降り立つ。
「まぁいい。任務の前に話がある。とりあえず中に入れ」
天元は親指で門をくいっと指す。
「…中に入ったらまた武器が飛んでくるんじゃないだろうな」
「さぁな。柱を名乗るんだったらそのくらいド派手にさばいてみろ」
「……はぁ」
は大きくため息をつき、屋敷へと入っていく天元の後ろをついていったのだった。
ー…