第4章 炎柱との任務 子供を喰らう鬼
「大正時代はすごい…見たこともない食べ物や衣服ばかりだった。面白い!」
ご機嫌で足取り軽く歩きながら独り言を言った後は、大きな屋敷の門前でぴたりと立ち止まる。
そしてすぅ、と大きく息を吸う。
「たーーーのもーーーーー!!「道場破りでもしに来たかのような訪ね方はやめてくれ!御近所の目もあるからな!」
屋敷の前で怒鳴るようにそう言ったに負けないような大声で、待ち構えていたかのようにすぐ返事をした杏寿郎は、を引っ張るようにして急いで屋敷に招いた。
ー…
「初日は炎柱と任務だな。よろしく頼む!」
「あぁ!こちらこそよろしく頼む!俺は煉獄杏寿郎だ!」
広い庭で二人は挨拶を交わす。
「杏寿郎か。良い名前だ、それにしても…」
は流れるような仕草で手で杏寿郎の頬に触れ、顔を覗き込むように近づく。
「…私の代の炎柱によく似ている。あやつもしっかり命を繋いでいたんだな」
「っ…!」
二人の距離はまるで恋人のよう。
慈しむように頬を撫でるに、杏寿郎は珍しく動揺した表情を向ける。
「…そのように女性が簡単に男に触れてはいけないな。」
杏寿郎はふぅ、と息を吐いた後真剣な顔で諭すように言い、の手を取ると、優しくゆっくりと下ろす。
「!悪かった、つい懐かしくてな」
は寂しげに微笑んだ後、杏寿郎に背を向ける。
「…最後に上弦を倒したのは百三十年程前だろう。おそらく私と炎柱で上弦の肆を倒した時で最後だ。炎柱はその戦いで受けた傷が致命傷となり、間も無く亡くなった。」
はまた杏寿郎に向き直ると、真っ直ぐに見つめる。
「…命は粗末にするなよ、杏寿郎」
杏寿郎はその物言いに違和感を覚える。