第3章 柱合会議
「…滝さんは前世…時を越えた時点では何歳だったのですか?」
「十六だ。霞柱!おばさんと言われるほどの年齢では無いぞ!」
「発言がそもそもおばさんだよ。本当に気色悪い」
「ぐぅ…」
はショボンと悲しそうな顔をする。
「十六…」
しのぶは驚く。
その若さであの洗練された剣術、体術を会得しているのは単純にすごいことだ。
しのぶは続けてに話しかけようとしたが、無一郎の限界を超えた不機嫌な雰囲気に押し黙った。
「…っていうかいつまでいるの?君の顔をこれ以上見たくないから早く帰ってもらえる?あと僕は君と合同任務はしない。時間の無駄だから」
「……そうか。分かった。お大事にな。体に気をつけて」
淡々と毒を吐き、目も合わせようとしない無一郎に向かって寂しげに微笑むと、は静かに去って行った。
しのぶ自身に用は無く、ただ単純に無一郎が心配で後をつけてきたのかー
しのぶはが出ていった部屋の入り口に視線を向けたまま考える。
「…胡蝶さん。薬はまだ?あとあいつに触られて気持ち悪いから消毒液も貰える?」
「…ごめんなさい。少し待ってくださいね」
「…あいつ、僕の屋敷の近くに住み始めたのかな…鬱陶しいにも程があるんだけど…」
さらに機嫌を悪くし、ぶつぶつと文句を言う無一郎に急かされ、しのぶは棚から急いで痺れ止め薬と消毒液を取り出す。
昨日の柱合会議でと手合わせし、刀を弾き飛ばされた衝撃で右手に痺れが残り苛ついていた所に、そのやられた張本人に後をつけられ心配され、怒りが頂点と言ったところかー。
しのぶは無一郎に分からないようにクスッと笑うと、薬を無一郎に手渡す。
「時透さん。痺れが治らなかったらまた言って下さい。あと、来月の定期検診にもしっかり来てくださいね。時透さんを含めて柱の方は皆何故か何かしら理由をつけて来ないので」
「……はぁい」
無一郎はしのぶをチラッと見て気のない返事をすると、ぺこりとお辞儀をして部屋を出た。
「滝さん、悪い人では無さそうですね。」
記憶を無くした無一郎にとって、良い起爆剤になるのかもしれないー。
しのぶは一人になった部屋で微笑みながらそう呟くと、また机に向かったのだったー。