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☆泡沫の夢☆<イケメン戦国 上杉謙信>

第1章 プロローグ


龍輝「それは昔のことです。
 でも佐助さんや蘭丸さんと遊んだ経験は、今に繋がっていると俺は思っていますよ」

蘭丸「呼び方まで変わっちゃったし。昔は『蘭丸君』って可愛く呼んでくれたのにな」


蘭丸が唇を尖らせ、龍輝が困り果てた時、木々がざざっと揺れて佐助が現れた。


龍輝「佐助さん、おかえりなさい。どうでしたか?」

佐助「遅くなってすみません。信玄様と幸村は無事国境を越えました。
 信長様に報告しに来たんだけど、俺の方が早く着いてしまったかな」

蘭丸「信長様はもうすぐ来るよ。信玄殿達は他国の情勢視察だっけ?いつ頃戻る予定なの?」


ここから馬で3時間以上もかかる国境を行き来した割に、佐助の表情に疲れの色は無かった。

佐助は蘭丸とは違う枝に陣取り、体重でしなっている枝に慌てるふうもなく無表情で話を続け、これまた部隊の者から尊敬の目を集めている。


佐助「今回は長くなりそうだって言っていたから、最低でも半年は戻って来ないんじゃないかな」

蘭丸「そっかぁ」

龍輝「信玄様と幸村様のコントが見られないと思うと寂しいです。
 では俺はこれで」


木の下では短い休憩時間が終わり、龍輝が部下達に指示を出し始めた。


佐助「時々龍輝君が謙信様に見える時があるよ」


顔立ちは子供の頃から似ていたけれど、声変わりをしたら声まで謙信にそっくりになった。

まだ少年っぽさが残っているため区別できるが、成人になればわからなくなりそうだ。


蘭丸「でもさ、やっぱり様に育ててもらったから謙信殿より断然優しいよね」

龍輝「そこっ!!頭をさげろっ!」


誤って仕掛けを踏んだ男が反射的に頭を下げると、間一髪で木の幹に矢が突き刺さった。


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