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☆泡沫の夢☆<イケメン戦国 上杉謙信>

第1章 プロローグ


――――

謙信とが唇を合わせていた同時刻……

静かに響く低い声が訓練場に響いた。

この国の言葉で命令を下しているのはとても若い男だ。体格は未熟ながら大勢いる人間の中で突出した動きをしている。


龍輝「夜通しの訓練ご苦労だった。信長様が来られるまで休憩だが、眠ることは許さない。互いを見張り、寝そうになった者は起こすように。
 訓練中に禁じていた水分の補給を今だけ認める」


深い森に入って夜通し訓練を受けていた者達は、やっと休めるとその場に座り込んだ。

謙信にそっくりの二色の瞳がそれを鋭く射抜いた。

暗い中でも褪せた色の金髪や白い肌が浮きあがる。


龍輝「休んでも良いと言ったが、ここがどこなのか忘れるな。
 この森には毒蛇が生息し、訓練用の仕掛けが至る所に設置してある。休憩中でも油断しないように」


龍輝の言葉に全員がビシッと立ち上がり、それを木の上から見ていた男がクスクスと笑った。

その笑顔は歳を経ても無邪気で、周囲に明るさをもたらすものだった。


蘭丸「あーあ、そんなこと言ったら休めって言われても休めないじゃない。
 副隊長殿ったら、ひどーい☆」


押し黙っている者達の心を代弁して、蘭丸が軽口を叩いた。

厳しい顔つきをしていた龍輝だったが蘭丸に同じ顔はできず、眉を下げた。


龍輝「信長様ならば休憩さえ与えないと思いますが…」

蘭丸「確かにね☆それにしても龍輝君はすっかり逞しくなったよね」

龍輝「いつまでも子供で居るわけにはいきませんから」


そんなことを言われてもと龍輝は困り顔だ。

この国に来て信長の下について数年。

感情を制御して謙信のような冷ややかな雰囲気を纏うようになった。が、幼い頃から付き合いのある面々に対しては昔の表情を見え隠れさせてしまう。


蘭丸「ついこの前まで俺と一緒に遊んでいたのに、大人になっちゃって寂しいなぁ」


蘭丸が細い枝に尻を預け、足をプラプラと揺らした。

高い木の上に居ながらリラックスしている様子に、部隊の者達は尊敬のまなざしを向けている。


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