第1章 プロローグ
謙信「俺が強く居られるのはのおかげだ。
素っ気なくされたら、そうだな……お前が構ってくれるまで張り付いて離れないだろう」
「謙信様なら本気でやりそうで怖いです……」
が困った顔をすると、謙信は目を閉じたまま薄く笑った。
謙信「もちろん本気だ。お前に相手をされない人生など考えたくもないからな。
しかしは俺のものだ。龍輝はそろそろ他所に拠り所をみつけるべきだな」
「ブラックな職場に居るから無理じゃないですか?」
お城と家の往復で、女の子と遊ぶどころか出会いさえないだろうとは危ぶんでいた。
謙信「この時代の就労にクリーンさを求めても仕方なかろう。
合間を縫って見つけるのが普通だ。龍輝のことは良い。もう一度、だ」
「っ、いつ出発するんですか。
また信長様達に遅れをとっちゃいますよ?ん!んん……」
朝に交わすにしては強引で深い口づけに、の言葉が途切れた。
謙信「と離れがたい」
腕の中に閉じ込めて口づけをしても足りないと、謙信は名残を惜しむ。
「謙信様ったら、もう…寂しがり屋なんだから」
謙信「何を言っている?お前とて寂しいと思っているだろう」
「う……それを言われると…寂しんですけど……」
が褪せた金髪をなでると、謙信は気持ちよさそうに目を閉じた。