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☆泡沫の夢☆<イケメン戦国 上杉謙信>

第1章 プロローグ


光秀が白い手袋を嵌めながら部屋を出ると、使用人が『馬車のご用意ができております』と声をかけてきた。

敷かれた絨毯を踏みながら玄関に進むと、光秀が来た方向とは逆から信長が姿を現した。

信長も一平兵の装いで、光秀と違うところがあるとすれば軍服の色が黒いというだけだ。


光秀「信長様、おはようございます」

信長「貴様の部隊は早朝訓練だったな」

光秀「ええ、場所は信長様の隊と同じです。信長様の部隊は昨夜から寝ずの訓練でしたね」

信長「夜は龍輝に任せた。どうなっているか見物だ」

光秀「疲弊したところにお館様が出向いては、部隊の者達も堪(こた)えますね」

信長「忍びを目指すならば、一晩寝ずとも動けるようでなくては使えん。
 なんならお前の隊に朝一番で吹っかけるか」

光秀「俺の隊の者は血の気が多いですよ。あまりおススメしません」

信長「ふっ」


二人は大股で歩きながら同じ方向へ向かっていく。玄関に着くと待っていた使用人が大仰に扉を開けた。

開いた向こうはまだ夜明け前の薄闇。

信長の軍服は同化し、光秀の白い軍服が青紫に浮かび上がった。

馬車が2台用意されているのを見て信長が低い声で言い放つ。


信長「行き先は同じだ。1台戻しておけ」


この国で生まれ育った者のように言葉遣いは流暢だ。御者が一礼して、去っていく。


ガタン


二人が乗り込むと馬車は動き出した。

薄いカーテン越しにおぼろげな景色が浮かび、出てきた屋敷の隣の建物に、もう一台馬車が停まっているのが見えた。


信長「軍神はまだ出ておらぬか」


信長の声に光秀が謙信の馬車を見た。


光秀「『朝の挨拶』が長引いているのでしょう」

信長「相変わらずだな」


苦笑した二人を乗せた馬車は訓練場へと走り去った。


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