第9章 離別
「え?そうだったの?!」
東くんはその事実を初めて聞いた様だった。
ヤマザキは私が結婚している事を東くんには話していなかったらしい。
「その山崎さんが結婚する相手って誰なのか知ってる?」
「うん、山崎くんから聞いたんだけど、クラブで知り合ったって人みたい…」
女性にお持ち帰りされるような男なのだ。
クラブで出会う女性はヤマザキの事が気になっていたに違いない。
「今日のLINEの件は山崎さんには言わないでね…」
「分かったよ…これから美都さんはどうするの?」
「どうするも、何もないわ…」
そう書くとLINEを閉じた。
ヤマザキは私以外に女を作ったのか。
それは、仕方がないことだと思った。
私には、もうヤマザキは必要なかったのだ。
必要だったのは、優しかった頃のあのヤマザキだった。
今のヤマザキに未練はどこにもなかった。
私は、イケナイ女だろうか。
ヤマザキを利用していたと思われても仕方がなかった。
私は、ヤマザキと完全に別れる決意をした。
そして、スマホの電話帳を開いた。
ヤマザキの名前を探す。
見つけると、それを削除したのだ。
LINEもヤマザキをブロックしてから削除した。