第8章 変様
ヤマザキが株式で儲け始めてからの事だ。
段々と、ヤマザキの性格が変わって来たのだ。
株式投資とはある意味、ギャンブルに似ている様だと私は思っていた。
ある人は「お金は人を変える」と言った。
それは、良い意味でも、悪い意味でもいえる事だと思う。
身の丈に合ったお金を持たないと、人間は破滅するらしい。
だから、いきなり宝くじで1億とか2億とか当たった人は、人生が狂うと聞いたことがある。
最終的には、その1億を使い果たし、借金地獄に陥る人が少なくないと聞く。
そんなお金にヤマザキは魅了されてしまった。
最近、ヤマザキと会ってもこんな会話しか出て来なかった。
「僕さ、ホームレスとか生活保護受けてる人とか見ると凄い気分が悪くなるんだよね…」
私は、その言葉を聞いた時、信じられない気持ちでいっぱいになった。
「何故、そう思うの?」
「だってさ、ホームレスとかって働かないし、最低じゃん?自業自得だと思うよ…」
そう言うと、冷ややかに笑うのだった。
「だって、好きでホームレスになった人はいないと思うけど?」
「いや、奴らは働かないからダメなんだよ…」
「でも、働けない人だっていると思うわ…」
「いや、働かなくて、怠けてるだけだと思う…」
確かに、ホームレスの人たちは働いていないだろう。
でも、それには理由があると私は思っていた。