第6章 ティファニー
私は、ライオン像にもたれるようにして、道行く人を眺めていた。
娘を待つ母親らしきご婦人がそこにいた。
暫くすると、若い女性がやって来てその母親らしいご婦人と一緒に三越店内に入ってゆく。
親子で愉しく買い物をするのだろうか。
そんな、事を思いながらヤマザキが来るのを待っていた。
親子を見送り、暫くしてからヤマザキが姿を現した。
「やぁ、美都、お待たせ」
「ちょっと早く着いちゃったの…」
「そうだったの?ごめんね…」
「大丈夫よ…」
「じゃ、ティファニーに行こうか?」
「ええ、…」
私たちは三越店内にあるティファニーに入って行った。
ティファニーは女性の憧れのジュエリーショップだ。
店内に入ると、20代の若い女性とそれに着きそう若い男性カップルでいっぱいだった。
私たちも年齢は高いがカップルだった。
「美都は何が欲しいの?」
「私、チョーカーが欲しいのだけれど…」
私はその当時、ネックレスとはちょっと違うチョーカーが欲しかったのだ。
首にピタリとハマる様なチョーカーが欲しかった。
その事をヤマザキに伝えた。
「チョーカーってあります?」
ヤマザキがティファニーの女性店員にそう聞いてくれた。