第3章 お持ち帰り
「美都さん、今日僕をお持ち帰りしてくれない?」
「え?」
私は、その言葉を聞くと驚いてしまった。
男性を持ち帰りした経験は私にはなかった。
お持ち帰りされた事は若いころに何度かあったのを覚えている。
お持ち帰りして欲しいという事は、セックスしたいと言うことなのだろうか。
そんな事を考えているとまたヤマザキがこう言ってくる。
「お持ち帰りしてくれないかな?ダメ?」
「私、男性をお持ち帰りしたことないわ…」
「女性がお持ち帰りされるのと同じだよ…」
そんな会話をしている間にエスカレーターは2階へと降りて行った。
ヤマザキは遠回しに私とセックスがしたいと言ってきている。
私は、それにどう答えたら良いのか考えていた。
しかし、身体はセックスを求めてやまなかったのだ。
私は、暫く歩きながら考えていた。
このまま、この彼とセックスをしてしまっても良いのだろうか。
私には夫の誠一がいるではないか。
その誠一を裏切ってこの男と関係を持ってしまっても良いのだろうか。
そんな考えが頭の中でグルグルと回っていた。
でも、身体はセックスがしたいと叫んでいる。
私は、ヤマザキにこう言ったのだ。
「ええ、いいわ。山崎さんをお持ち帰りするわ…」