第25章 懐玉
それじゃあ、それまでに私はやり残したことを全て片付けよう。
少しばかり旧友たちに会いたくなった。
そこで私を殺すのであれば、それはそれでいいと思っていたのかもしれない。
「火、いるかい?」
新宿の喫煙スペースに硝子の姿を見つけた。
スウェット姿の私とは対照的に彼女は律儀に高専の制服を着ていて、つい最近まで私もあの制服に身を包んでいたのに懐かしさを感じる。
「犯罪者じゃん。何か用?」
そう言う事言えるのは硝子くらいなもんじゃないかな。
でも変わらない態度で安心した。
「運試しってとこかな」
「ふーん?」
煙草に火を付けてやると、息を吸って煙を吐いた。
「一応聞くけど冤罪だったりする?」
「ないね。残念ながら」
「重ねて一応。何で?」
「術師だけの世界を作るんだ」
「ははっ。意味分かんねー」
「子供じゃないんだ。誰でも彼でも理解してほしいとは思わないさ」
「どーせ誰も理解してくれないって腐るのもそれなりに子供だと思うけど?あ、五条?夏油いたよ。そ、新宿。ヤダよ。殺されたくないもん」
いつの間に悟に電話をかけていたのか。
そうか、悟もここにくるのか。
硝子、安心していいよ。
私は君を殺したりなんかしない。
言っただろう。
術師だけの世界を作るって。
その世界に君は必要なんだ。