第25章 懐玉
「それね、プリンね。すごくおいしいから、食べていいよ。ママがねプリンおいしいって言ったらね、いつも買ってくれるの。だからねが食べようと思ってたけど、お兄ちゃんにも食べてほしいから、それ食べて」
「食べたいんだろ、。だったら私はいいよ。が食べな。それに……」
「やだ!!」
それに、いつでも私は食べられるし。
そう言おうとしたら、勢いよく言葉を遮られた。
私を見上げる小さい瞳は、睨みつけるように鋭かった。
怒っている。
何が気に食わなかったのか。
私は「どうしたんだい?」と彼女の機嫌を直すべく、視線を合わせるためにしゃがみ込んだ。
すると、ぎゅっと小さい腕が私の首に巻きつき、彼女の声が耳元に響いた。
「やだ‼︎今食べて!!それ食べたらすごくおいしくて幸せになれるよ。だってそれ食べたら幸せになれるんだもん」
舌足らずに一生懸命に話をする。
その時気づいた。
彼女は彼女なりに私に気を遣っていたのだと。
そのことに気づき、私はの身体を抱きしめた。
私に抱きしめられて嬉しいのか、は小さくくふくふと笑って首に回した腕の力を少しだけ強めた。
「お兄ちゃん大好き!!」
「ああ、私もが大好きだよ」
今から私は君の両親を殺すんだ。
憎まれるかもしれない。
恨まれるかもしれない。
ごめん。
君が傷つかず泣かないで笑える世界を必ず作って見せるから。
だから、今はほんの少しだけ我慢をしてくれ。
ふとした瞬間に触れる子を思う親の愛情。
躊躇うな。
ちゃんと殺せ。
それが、私の正義で大儀だ。