第25章 懐玉
満たされていく心。
これが"愛情"なんだと気づいてももう、遅かった。
「美味しいよ……」
「ほんとう⁉やった!!」
「よかったわね、。さ、いっぱい食べて」
「ただいまー」
「あ、パパだ!!パパ!!お兄ちゃんがね!!」
家族団欒。
「久しぶりだな、傑。元気にしてたか?学校はどうなんだ?楽しいか?」
弾む会話。
「何か飲み物でも淹れるわね。ゆっくりしてて」
じんわりと。
凍った氷が、ゆっくりと溶けていくような。
寒い冬が終わり、優しい春へと変わっていくような。
そんな感覚が、した。
「いや、私が淹れるよ。料理のお礼に。コーヒーでいいかい?」
「あら、そんな文句どこで覚えてきたのよ」
「も!!もこーひー飲む!!」
「オマエにはまだ早いよ。はオレンジで頼むよ」
「あはは、わかった」
ほっぺを膨らませる。
私達と同じものがいいみたいだけど、さすがにブラックは飲めないだろう。
お湯を沸かしている間に冷蔵庫からオレンジのペットボトルを取り出す。
その時、私の目にはプリンの入った箱が見えた。
コンビニやスーパーで売っている、どこにでもあるようなごく一般的なもの。
「お兄ちゃん」
「うわっ!!びっくりした……」
いきなり声を掛けられ思わず驚いてしまった。
気配が全然しなかった。
どくどくと脈打つ心臓を落ち着かせながら、私はを見た。