第25章 懐玉
七海が怪我をして灰原が死んだから、か。
「悟」
これ以上、悟の言葉は、声は聞きたくなかった。
「無事で、よかった」
一生懸命頭の中で、ぐるぐる回る思考回路の中で、絞り出せた言葉がこれだ。
取り繕った言葉しか出てこなくて、ただ、悟を見つめることしかできない。
サングラスの奥のブルートパーズの瞳が、きょとんと私を見つめる。
「当たり前だろ。あんな雑魚」
"超楽勝だったよ"
"瞬殺"
"疲れたー"
"移動時間でだよ"
"あんな雑魚"
ああ、そうだね。
君にとっては、そうかもしれないね。
【もう、あの人1人で良くないですか?】
ああ、そうだね。
そうかも、しれないね。
悟一人で、どうにかできるのかもしれないね。
【もう、あの人1人で良くないですか?】
だめだよ、一人は。
だって、そんなの寂しいじゃないか。
一人は寂しいじゃないか、そんなの。
悟は、寂しんぼだから。
私が傍にいてやらないと―――。