第25章 懐玉
九十九さんは言った。
高専の方針と合わない、と。
高専は対処療法に対して、彼女がやろうとしていることは原因療法。
呪霊そのものを狩るのではなく、呪霊の生まれない世界を作ると。
呪霊は非術師たちの微量な呪力が集まって出来ており、呪術師からは呪霊は生まれない。
そう言った。
呪霊の生まれない世界の作り方は2つだと言う。
ひとつめは、全人類から呪力をなくす。
ふたつめは、全人類に呪力のコントロールを可能にさせる。
ひとつめは、禪院甚爾というモデルがいたため現実的にあり得ると思ったらしく研究をしようとしたかったが断られてしまったという。
あいつに負けたことを恥じなくてもいいという慰めまで貰ってしまった。
それほどまでにアイツは超人で化け物だったということだ。
あの悟でさえ一度負けているんだから。
ふたつめは、簡単に言ってしまえば。
全人類が術師になれば呪いは生まれないということ。
呪力のコントロールとはそういうことだ。
私の頭に浮かぶのは、あの日の光景。
少女の死を喜ぶ非術師の姿。
そんな奴らが術師に……?
呪力のコントロール……?
そんなの非現実的すぎるだろう。
だったらいっそのこと……。
「非術師を皆殺しにすればいいじゃないですか」
思わず声に出ていた。
先ほどの仕組みを利用するなら、そっちのほうが現実的だろう。
現実的だけど、非現実的でもある。
別に本当にそうしたいわけではなかったけど。
「夏油君」
叱られると思った。
非術師を殺すだなんて発想を術師がして言いわけがないんだ。
そう思ったのに。