第25章 懐玉
非術師は守るべきもの。
自分の信念に疑問を抱きはじめたら、もうだめだった。
私の精神状態は徐々に少しずつだけど確実に崩れていった。
本音と建前をずっとずっと抱えて生きて。
祓って取り込んで。
頭も心も何もかもがおかしくなりそうだった。
私はなんのために、誰のために、こんなことを―――。
自分の心を騙して。
守るべきものだから、守らなければいけないから。
理子ちゃんが死んでから、私はずっと彼女のことと非術師の事ばかりを考える様になった。
悟はいつもと変わらずで。
それも私にとっては辛かった。
悟はなんでそんな普通にしていられるんだ。
目の前で理子ちゃんが殺されたのを見ていないからなのか。
それとも、君が最強だからなのか。
あの日から、私と悟は理子ちゃんの話はしていない。
話そうとも思わなかった。
だからこそなのか。
吐き出す場所を見つけられないまま、私はこの混濁した感情をずっと持ち続けている。
いっそのこと土砂降りの雨が降り注いでくれたらいいのに。
そうすればもやもやしたこの気持ちも一緒に洗い流してくれるだろう。
だけど、雨は降らない。
雨粒にしてまで降らすまででもないってことなのかもしれない。
この感情を持て余したまま、時間が過ぎ一年が経った。